記憶

ある巫女姫の記憶

月夜の海

広く 大きく あたたかい 背中
異国の海で ひとり 佇む
蒼い風のひと

寝静まった 仲間たちへの
海の向こう 故郷へと
想い馳せ
誰にも 見せぬよう
一筋の涙を流す

その双肩にかかる
決して 軽くはない
志、覚悟
その背中が 遠いまなざしが
物語る 悲願

その優しさに
胸に秘めた想いに
ただ 寄り添いたかった

本当は 一緒に行きたかった
連れて行って欲しかった
あなたも 残ることはなく
私がついていくことも
できなかった

旅立ち 最期の晩
「涙を見せた女は生涯ただひとり」
と 一度きりの抱擁
叶うことのない 想いに
ただ 涙が溢れました

私にとって
生涯ただ一度の
そして最期の恋でした

永い 永い
時を超え

また お逢いできた
奇跡、喜び

愛しい蒼いひと

私がわかりますか
私を憶えていますか

今度こそ 寄り添い
新しい未来へ
あなたの隣に立ち
今度こそ
最後まで 共に