記憶

ある巫女姫の記憶

「また、お逢いしましょうね」

高句麗の姫

姫が私に教えてくださったことは

はかりしれず

美しく光り輝き、愛を伝えること

いのちひとつで生きてゆくこと

 


たった一瞬の邂逅で

光輝く永遠の未来を

我らに

そしてこの地にもたらして下さった

 


大国のお姫様が乗っているとは思えない

飾り立てた様子の全くない

無駄がなく洗練された船から

天上の、地上の、

この世総ての美を全て集めて

人の形にしたような姫が現れた時

光輝く春風に花が舞う

 


我が国の男たちは

構えていた武器を全て棄て

いのちひとつで生きてゆく

ということの真を

骨の髄から思い知った

 


姫の訪れこそが奇跡

 


いのち果て 眠りにつき

悠久の時を超え

美しい春風の気配に

魂 目覚める

 


あの時、今生で

お会いすることは もうない、という事は

貴方様もわかっておられた

それでも

「またお逢いしましょうね」と言ってくださった

「次にお逢いするときには いのちひとつ 共に生きられるように」と、誓った

 


やっと光と出会い

時は満ち

誓いを果たす

 


高句麗の姫

あなたの存在がもたらして下さった

今この時

私は深く深く感謝をしています

 


共に生きることができる

喜び、奇跡

今はじまる

いのちひとつ 共に